何を作るのか、と、どのように作るのか、をつなぐものがアーキテクチャとなります。すなわち、アーキテクチャとは、ものづくりの経営と製品のテクノロジの架け橋といえます。そして、それを実現するための重要な役割を担う人がアーキテクトです。

アーキテクトは、魅力ある製品を構想する力(表の競争力)、そして、それを作りだす開発力(裏の競争力)、を牽引する人といえます。アーキテクトの活躍が、今後のものづくり(ものづくり2.0)における国際競争力の源泉となるものと考えています。

開発現場では、
・アーキテクトは育成できるのか?センスではないのか?
・現状のソフトウェアの保守だけで手いっぱい
・そもそも現状のソフトウェアが在庫化していて、アーキテクチャどころではない
という声も多く聞かれます。

過去のアーキテクトを見てみると、業界で突然変異的に出現することも多かったかと思います。しかし、これからは、社内でアーキテクトを育成していく時代であると感じます。エンジニアの設計に対する認識とスキルの向上に取り組み、全体を底上げすることが、アーキテクトの出現をより現実的にするものと考えます。今こそ、アーキテクト育成を戦略的に推進する時期であり、アーキテクトという目標を目指しながら、設計の基礎から着実に成長していくスキルパスを描くことができます。

また、アーキテクトが不在で、個々のエンジニアが自分の担当範囲を個別最適に作り込むことで、全体のソフトウェアの複雑さが増していくことも現実です。それを金属疲労になぞらえて「ソフトウェア疲労」と呼んでいます。次回からは、現場で起こっているソフトウェア疲労の実態と、その対処策を7回シリーズで掲載していきます。