アーキテクチャ設計は、箱と線でつながった構造で表現します。しかし、そのような無機質な「箱+線」だけではなく、そこに心として意図を含めることで、理解しやすく、安定して、劣化しにくいアーキテクチャとなります。すなわち、アーキテクチャ設計は「箱+線+心」といえます。

箱とは、静的視点での機能集合である機能ブロックや動的視点でのタスクなどの実行要素である実行ブロックという、ある視点からみての意味のあるブロックです。そこに名前を付けることで、アーキテクチャ設計の識別可能な要素となります。機能ブロックで全体を俯瞰して、実行ブロックで際どいところを押さえることができます。

線とは、機能ブロックの利用関係や実行ブロックのインタフェースで、箱の間の関係を規定することです。機能ブロックは、上下の知的階層化を行う「レベリング」という技術が必要となります。実行ブロックは、タイミングや同期を考慮した「リアルタイム設計」が必要です。

心とは、設計意図であり、箱の配置と、線の引き方で表現することになります。アーキテクチャ全体の配置規則に従って、箱の置き場所を決めます。配置規則として代表的なものは、階層化アーキテクチャでの水平パーティショニング、ユーザインタフェース分離での垂直パーティショニングがあります。

すなわち、アーキテクチャ設計とは、視点を決めて、箱を識別して、箱の間の線を引いて、配置規則に従って、箱と線を置いていくことになります。箱だけで線がない図や、配置規則がなく箱の置き場所がバラバラな図はアーキテクチャ設計としては、不充分であると言えます。